2019シーズン初の離島は沖縄島!!
実は離島採集は昨年の屋久島が初めてで、南西諸島は採集では全く行ったことがなかった。

今回は大学のサークルの春合宿ということで名護を拠点に主にやんばるで採集を行なった。(#1としているのは夏に#2があるからである笑)

 時期は3月中旬ということで流石の沖縄でもクワガタは厳しいだろうなあと思いつつ、一番見つけやすそうなルイスツノとオキナワネブト、オキナワヒラタを目標種として遠征に臨んだ。

1日目

今回の遠征は成田空港から出発した。サークルの合宿ということもあり、時間にかなりの余裕を持たせたため那覇空港に着いたのは既に夕方だった。とりあえずせっかくの時間が勿体無いということで雨がパラつく中、ホテルの周りを散策した。

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ヒメアマガエル
𝑀𝑖𝑐𝑟𝑜ℎ𝑦𝑙𝑎 𝑜𝑘𝑖𝑛𝑎𝑣𝑒𝑛𝑠𝑖𝑠
Stejneger, 1901
日本固有の小型のカエル。どこでも見かけることができた。
一時的にできた水たまりなどにも産卵するらしい。日本産のカエルでは一番可愛い気がする。 

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ミナミヤモリ
𝐺𝑒𝑘𝑘𝑜 ℎ𝑜𝑘𝑜𝑢𝑒𝑛𝑠𝑖𝑠
Pope,1928
主に森林で見かけることができた。市街地にはホオグロヤモリの方が多く、住み分けをしていた。 吐噶喇列島や屋久島など日本の各地に移入されいるらしい。近年本種から隠蔽種としてオキナワヤモリが分けられた(未記載)。

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アフリカマイマイ
𝐴𝑐ℎ𝑎𝑡𝑖𝑛𝑎 𝑓𝑢𝑙𝑖𝑐𝑎 (Ferussac, 1821)
東アフリカ原産の大型巻貝。広東住血吸虫が本種を中間宿主とするため触らない方が良い。世界の侵略的外来種ワースト100に選定されている。


春とは言え3月の沖縄は既に暖かく、両爬はかなり活発に活動していた。初日は沖縄ならではの生き物をそれなりに見かけることができたが、二日目に備えて早く寝た。



2日目

初日はほとんど採集ができなかったので二日目は早速やんばるへ向かった。

やんばるとは沖縄島北部にある与那覇岳(503m)を最高峰とする古生層の山地の俗称である。シイやカシなどが優占した原生林で、そこには固有の生き物が多く生息している。
ちなみにやんばる固有の生き物の多くが種名に“やんばる”がつけられている(ex.)ヤンバルテナガコガネ,ヤンバルクイナ,ヤンバルクロギス,ヤンバルホオヒゲコウモリetc )

前述したように今回はクワガタはかなり厳しいということは重々承知していたので、固有の両爬を探しつつ適当にクワガタを探すことにした。

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ヘゴの木
いかにも亜熱帯多雨林、という感じだった


今回はせっかくの沖縄遠征ということなのでクワガタだけではなく水生昆虫の方にも力を入れることにした。クワガタ同様、水生昆虫も沖縄固有のものが多いので是非いろいろな種が見たい。

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良さげなため池
オキナワマツモムシがいるかも...と思いつつ藪漕ぎして近づいてみた

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実際に近寄ってみると水草が殆ど無かった
水面からは多くのオキナワシリケンイモリやオオミズスマシを観察できた

フタキボシケシゲンゴロウ
フタキボシケシゲンゴロウ
𝐴𝑙𝑙𝑜𝑝𝑎𝑐ℎ𝑟𝑖𝑎 𝑏𝑖𝑚𝑎𝑐𝑢𝑙𝑎𝑡𝑎 
(M.Sato,1972)
主に南西諸島に分布する流水性のゲンゴロウ。渓流の淀みをすくってみるとたくさん採ることができた。第1投目ならぬ第1掬い目が本種だったのでとても嬉しかった。上翅にある二つのハート形の斑紋がとても可愛らしい。
準絶滅危惧種

 
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オキナワイシカワガエル
𝑂𝑑𝑜𝑟𝑟𝑎𝑛𝑎 𝑖𝑠ℎ𝑖𝑘𝑎𝑤𝑎𝑒 (Stejneger, 1901)
アカガエル科ニオイガエル属に分類される。山地の渓流沿いを好み、岩の隙間などを好む。繁殖期には岩の下や隙間、斜面地下にある伏流水が溜まった穴などに産卵する。ちなみにだが、この皮膚の青色は黄色色素胞欠損によるものらしい。
奄美大島個体群とは形態の違い、雑種致死による交配後隔離が確立されてる点から近年別種扱いにされた。
絶滅危惧IB類

 
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コモウセンゴケ
𝐷𝑟𝑜𝑠𝑒𝑟𝑎 𝑠𝑝𝑎𝑡𝑢𝑙𝑎𝑡𝑎
Labill
山地の湿地を好む食虫植物。のはずだが実際には乾燥(?)している場所に生えていた。葉は普段緑色をしているが冬は紅葉で赤くなるらしい。この個体はまだ葉はかなり赤かった。

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できれば虫を捕食している画がほしかった..

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オキナワキノボリトカゲ
𝐷𝑖𝑝𝑙𝑜𝑑𝑒𝑟𝑚𝑎 𝑝𝑜𝑙𝑦𝑔𝑜𝑛𝑎𝑡𝑢𝑚 𝑝𝑜𝑙𝑦𝑔𝑜𝑛𝑎𝑡𝑢𝑚
Hallowell, 1861
日本に生息するアガマ科は本種のみである。体色はふつう緑色もしくは褐色だが、この個体はやけに黒かった。昼行性で、夜間は木の枝や幹にしがみついて寝ている。
亜種には先島諸島固有のサキシマキノボリトカゲ ssp.𝑖𝑠ℎ𝑖𝑔𝑎𝑘𝑖𝑒𝑛𝑠𝑖𝑠 (Van Denburgh,1912)や与那国島固有のヨナグニキノボリトカゲ ssp.𝑑𝑜𝑛𝑎𝑛 (Ota, 2003)、台湾固有のキグチキノボリトカゲ ssp.𝑥𝑎𝑛𝑡ℎ𝑜𝑠𝑡𝑜𝑚𝑢𝑚 (Ota,1991) などがある。
絶滅危惧Ⅱ類 

材割りなどをしてみたが中にはクチキゴキブリ類しか見つからず、甲虫はほとんど見つからなかった。そんなこんなですっかり日が暮れてしまったためコンビニで夕飯を買ったあと再びやんばるの奥地へ向かった。
*やんばるを夜間入るときは国頭村の夜間林道通行許可を事前に申請しておく必要がある。

夜のやんばるは昼間と打って変わって闇に包まれており、少し不気味だった笑
繁殖期だったためか、路上には多くの イボイモリが歩いていた。
 
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イボイモリ
𝐸𝑐ℎ𝑖𝑛𝑜𝑡𝑟𝑖𝑡𝑜𝑛 𝑎𝑛𝑑𝑒𝑟𝑠𝑜𝑛𝑖 (Boulenger, 1892)
夜間の林床を歩いていた。後頭部から尾にかけてある隆条が名前の由来らしい。精包の授受が陸上で行われるため、産卵場所には雄が殆ど見られないという特異的な生態をもつ。個体数はかなり多かった。
絶滅危惧Ⅱ類

二日目はフタキボシケシや様々な両爬を見かけることができたので大満足だった。(クワガタは...?)
ヘトヘトになりながら宿に戻ってきた頃には既に26時を過ぎていた。