3日目

「流石に今日こそは東ジャワに移動できるよな...」と一抹の不安を抱えつつ、二日目同様朝早くに空港へ向かった。
グランドスタッフに確認してみたら、どうやら今日は本当にフライトがあるらしく安心した笑

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乗った飛行機
ガルーダ・インドネシア航空は日本でいうJALぐらい大手な航空会社らしい

ジャカルタのスカルノ・ハッタ国際空港からジャワ島東部のバニュワンギまでのフライトは約1時間20分(横の席に座った方が巨漢で鼻息が荒く、これがなかなか地獄だった笑)と意外と長いフライトだったが、朝も早かったためかすぐに寝てしまった。

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ジャワ島中部の風景
屋根が茶色のレンガでできた平屋が多い印象

日本からジャワ島に向かった時と同様、この時も目が覚めた頃には機体は着陸態勢に入っていた。機体のウイングが窓から見た感じだとかなり錆びついているように見えて少し不安だった笑。

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バニュワンギ空港
屋根に芝が生えているというとてもお洒落な空港だった 

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空港にて
この空港まではWi-Fiが使えたが、ここから4日間ほどはWi-Fiがなくスマホが一切使えなくなった。
 

空港では現地採集人が出迎えてくれており、車で彼らの家に向かうことになった(ちなみにこの現地採集人たちは、野外採集した昆虫を日本に輸入する業者に卸売りをしていた)。

バニュワンギは首都のジャカルタから離れたとはいえ交通量は多く、すぐには到着しなさそうだったので途中で昼食をとることにした。

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ナシゴレン
店や地域によって辛さや具材が変わっていて、とにかく美味しい!!

昼食をたらふく食べたところで再び現地採集人の家へ向かった。現地採集にの家に着いたのは15時を過ぎていた。この日は夜にギラファノコギリクワガタの産地でライトトラップする予定だったので、現地民とカタコトな英語で虫の話をして少し盛り上がったあとすぐにバックパックから荷物を解体して採集の準備をした。

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現地採集人の家
なんでもクワガタ採集のみで家を建てたらしい

ライトトラップのポイントまではジープに乗せてもらって移動することになった(なんでも採集ポイントは途中舗装されてない道を通らないといけないらしい)。
このジープも二日目のバンと同じくなかなかなものだった。。笑
逆走などをしたわけではないが、このジープ、とにかくボロい笑
採集ポイントに行くまでなんと3回もギアが外れたのである。道端でクラッチを使い、噛み直す作業を繰り返しながら採集場所に向かったわけだが、人手が足りない時は近くの住民(勿論誰も知り合いではない)と一緒に車を押してクラッチを入れ直していた笑(山道で鳴らなくて本当に良かった)

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乗ったジープ
ドアは運転席と助手席しかないので助手席から中に入った

採集ポイントに着いた頃は辺りは真っ暗だった。ここでさらにプチハプニングが発生。採集場所までは我々を乗せたジープと採集道具,現地採集人数名を乗せたジープ二台で向かったわけだが、現地採集人を乗せた車が来ないのである!!!どうやら道に迷っていたらしく、自分達が着いてから約40分後に着いた。

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採集地の入り口(写真は4日目に撮影)

夜が更け始めていたので、メーバーが揃い次第すぐに山奥へ入っていった。山道を40分ほど歩いたところでライトトラップのポイントに着いた。
ポイントに着くやいなや現地採集人が手早く木を切り始め、あっという間にライトトラップが立ち上がった(本当に早かった)。

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ライトトラップの様子

また、ここでは現地採集人の手際の良さだけでなく大胆さも垣間見ることができた笑 どういうことかというと、ライトトラップは反対側の山を照らすような位置に張られていたわけだが、ライトラの近くに大きな木の枝が邪魔していた。それを現地採集人に指摘すると、なんと素足でその木に登り、チェーンソーで枝を切ってしまったのである!! 
このおかげで我々のライトラを邪魔するものは一切なくなった。

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スイスイと木を登る現地採集人
この人は現地採集人の中でもトップクラスの木登り名人らしい

どうやらこの日はコンディションがイマイチらしく、虫の集まりはショボかった。1時間経っても暫く虫の集まりに変化はなかったのでここで夜食を取ることにした。
夜食後ライトラ付近を再び徘徊すると、布の後ろに何か黒い影見えた。恐る恐る近づいてみると...

「おおおおおおおおお」

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ギラファノコギリクワガタ亜種𝑏𝑜𝑟𝑜𝑏𝑢𝑑𝑢𝑟
𝑃𝑟𝑜𝑠𝑜𝑝𝑜𝑐𝑜𝑖𝑙𝑢𝑠 𝑔𝑖𝑟𝑎𝑓𝑓𝑎 𝑏𝑜𝑟𝑜𝑏𝑢𝑑𝑢𝑟 Mizunuma et Nagai, 1991
マンディブラリスフタマタクワガタと並び世界最大のクワガタムシにして今回の遠征の最大の目標種。種小名の𝑔𝑖𝑟𝑎𝑓𝑓𝑎はキリンを意味する。ギラファノコギリクワガタには多くの亜種が知られており、亜種間では大顎の形態に差が見られる。今回採集した個体は基亜種ではなくジャワ島,バリ島,スマトラ島南部亜種に分類され、大顎が太いのが大きな特徴である。

これにはとても感動した。クワガタに魅了されてはや15年、、、小学生の時ムシキングで初めてゲットした強さ200のカードがこのクワガタだった。自分のクワガタ好きがより一層強くなるきっかけとなった存在にまさか本当に野外で出会えるとは。。。この感動は死ぬまで忘れることができないだろう。

それから30分後。

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ギラファノコギリクワガタ亜種𝑏𝑜𝑟𝑜𝑏𝑢𝑑𝑢𝑟
𝑃𝑟𝑜𝑠𝑜𝑝𝑜𝑐𝑜𝑖𝑙𝑢𝑠 𝑔𝑖𝑟𝑎𝑓𝑓𝑎 𝑏𝑜𝑟𝑜𝑏𝑢𝑑𝑢𝑟 Mizunuma et Nagai, 1991
最初に捕まえた個体よりもやや小型だった。

またしてもギラファが飛来した。
この後もポツポツと飛来し、同行者も採集することができた。
クワガタ以外にはこんな虫が飛来してきた。

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シャチホコガ科の仲間
Notodontidae gen. sp.

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フトメイガ亜科の仲間?
Epipaschiinae gen. sp. ? 

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フクラスズメの仲間
𝐴𝑟𝑐𝑡𝑒 sp.

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ホシミスジエダシャクの仲間
𝑅𝑎𝑐𝑜𝑡𝑖𝑠 sp.

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スジモンヒトリの仲間
𝑆𝑝𝑖𝑙𝑎𝑟𝑐𝑡𝑖𝑎 sp.

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アシナガバエ科の仲間
Dolichopodidae gen. sp.

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チズモンアオシャクの仲間
𝐴𝑔𝑎𝑡ℎ𝑖𝑎 sp.

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ブドウスズメの仲間?
𝐴𝑐𝑜𝑠𝑚𝑒𝑟𝑦𝑥 sp. ?

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シャチホコガ科の仲間
Notodontidae gen. sp.

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ツマジロエダシャクの仲間
𝐾𝑟𝑎𝑛𝑎𝑛𝑑𝑎 sp.

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クロスジノメイガの仲間
𝑇𝑦𝑠𝑝𝑎𝑛𝑜𝑑𝑒𝑠 sp.

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スジベニコケガの仲間
𝐵𝑎𝑟𝑠𝑖𝑛𝑒 sp.

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ゴマケンモンの仲間
𝑀𝑜𝑚𝑎 sp.

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ヤママユの仲間
𝐴𝑛𝑡ℎ𝑒𝑟𝑎𝑒𝑎 sp.

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ホソバスズメの仲間
𝐴𝑚𝑏𝑢𝑙𝑦𝑥 sp.

しかし22時過ぎくらいからは全く飛来しなくなってしまった。結局ライトラを見ては周辺の森で虫を探す、というのを27時くらいまでやったがこれ以降クワガタが採れることはなかった。
そして自分はライトトラップの横で寝落ちしてしまった。 

2019 ジャワ島(3)はこちら
2019 ジャワ島(1)はこちら。