よりみち鍬形日誌

離島を愛する鍬形屋。大学四年間の目標は規制種以外の日本の離島クワガタを全種自己採集。 Twitter @odontolabis31 Instagram @_dorcus31

屋久島

2018 屋久島(2)

だいぶ空いてしまいましたが...笑

2日目

初日目の夜は雨があまりにも酷かったため採集は全くできなかった。
気合いを入れ直す意味でもこの日は朝早くから車を走らせた。

言い忘れていたが今回の大本命は何と言っても屋久島固有種のヤクシマオニクワガタである。

離島固有の高山種....これは是非とも御目に掛けたいっ!!!

ということで一気に標高を上げて捜索を開始した(実はこのときはまだオニクワガタを取ったことなかった笑)。
オニクワ採集経験がないため捜索は非常に難航した。(当たり前)

「標高1000m付近の材割ればいるだろう。。」
そんな風に考えていたが、これが全ての失敗の原因だった。

まず標高“1000m付近の場所”だが、そもそも1000m付近で道が通っているところはほぼ世界遺産指定区域もしくは特別保護区だった。地形図を照らし合わせて採集可能な場所を探す作業に大きく時間をとられてしまった。(下調べ不足が仇となってしまった...笑)

そして“材割り”だが、ここでも大きなミスをやらかしていた。この時期(8月中旬)ヤクオニは既に歩いている時期であった。というよりも発生もかなり後期だった。

そんなこんなで結局山に入って数時間経ってもヤクオニは一匹も見つからなかった。

疲れきった私は休憩がてらに観光名所の一つである白谷雲水峡で観光することにした。
白谷雲水峡では屋久島の雄大さを実感することができるので是非虫屋の方にも行ってもらいたいです。(もはや観光目的??)
帰り道でヤクオニの死骸を見つけた。やはり発生後期だったようだ。(写真はデータが破損して残らなかった...)
二日目の晩もなぜか大雨。コクワやノコギリを街灯採集で稼ぐ魂胆だったためこの日もボーズとなった。

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太鼓岩
一見滑りやすそうに見えるが意外と滑りにくい


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吊り橋
このときは霧がまだ薄かった



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屋久島にはこのような沢がいくつもあった



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倒木
白谷雲水峡にはこのような倒木がたくさんあった 

2018 屋久島(1)


虫屋としてはうずうずせずにはいられない時期がついにやってきた。

実は既に受験生の頃から今回の予定は立てていた。


そんな今年の採集旅行の皮切りとなった舞台は日本の秘境・屋久島!!

縄文杉やウィルソン株といったいわゆる“屋久杉”で有名なこの島には実に多くの観光客がやってくる。

しかし、この島の魅力はなんといってもその類い稀な自然環境と固有種の豊富さだろう。クワガタだけでも屋久島にはヤクシマノコギリクワガタ 𝑃𝑟𝑜𝑠𝑜𝑝𝑜𝑐𝑜𝑖𝑙𝑢𝑠 𝑖𝑛𝑐𝑙𝑖𝑛𝑎𝑡𝑢𝑠 𝑦𝑎𝑘𝑢𝑠ℎ𝑖𝑚𝑎𝑒𝑛𝑠𝑖𝑠、ヤクシマコクワガタ𝐷𝑜𝑟𝑐𝑢𝑠 𝑟𝑒𝑐𝑡𝑢𝑠 𝑦𝑎𝑘𝑢𝑠ℎ𝑖𝑚𝑎𝑒𝑛𝑠𝑖𝑠、ヤクシマスジクワガタ 𝐷𝑜𝑟𝑐𝑢𝑠 𝑠𝑡𝑟𝑖𝑎𝑡𝑖𝑝𝑒𝑛𝑛𝑖𝑠 𝑘𝑜𝑦𝑎𝑚𝑎𝑖 、ヤクシマオニクワガタ 𝑃𝑟𝑖𝑠𝑚𝑜𝑔𝑛𝑎𝑡ℎ𝑢𝑠 𝑡𝑜𝑘𝑢𝑖、ヤクシママダラクワガタ𝐴𝑒𝑠𝑎𝑙𝑢𝑠 𝑎𝑠𝑖𝑎𝑡𝑖𝑐𝑢𝑠 𝑠𝑎𝑤𝑎𝑖𝑖 などが挙げられる。

ちなみにだが隣の種子島にはコクワガタ以外本土と同亜種が生息している。

屋久島は比較的南に位置する島であるのにも関わらず、九州最高峰である宮之浦岳をはじめ高山がたくさんあるという独特な地形をしている。それゆえ低地では亜熱帯多雨林に近い照葉樹林の植生が見受けられるのにも関わらず、高地では夏緑樹林や針葉樹林となっている。
この癖のある植生の垂直分布が屋久島の種の多様化に大きく寄与していると考えられる。

前置きが長くなってしまったが、詰まる所、屋久島は“生き物の宝庫”というわけである。


1日目

東京から屋久島までは2通りの行き方がある。一つ目は羽田/成田から鹿児島空港まで行き、そこからJACで屋久島空港へ行く方法、二つ目は鹿児島から屋久島までフェリーで行く方法である。学生である自分は当然お金があるわけがないので後者の行き方で屋久島へ向かった。
しかしこの行き方だとお金はあまりかからないものの、時間がとてもかかった。朝の6時半羽田発の便で鹿児島へ向かったが屋久島に到着したのは14時を過ぎていた。

実はこの時ちょっとしたトラブルが起きていた。
台風19号、20号が屋久島に接近していたのである。

まあなんとかなるだろう思いながら上陸したが、到着直後は今にも一雨降りそうな雰囲気だった。

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出発するときの鹿児島港
この時まではほぼ快晴だった 

本格的な採集は二日目以降にすることにして初日は島内を観光することにした。
宮之浦港でレンタカーを借りた後、島の南部へ向かった。
屋久島には島を縁取るように大きな国道が敷かれているため、移動はしやすかった。

初日はあまり樹液のある木を探す時間がなかったため、道路脇に行くつかのバナナトラップを仕掛けた。屋久島は島の一部が世界自然遺産に認定されているため、保護区がある。また国立公園の特別保護区も設けられているため採集する際には十分気をつける必要がある。

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バナトラポイント
シイ系やカシ系が多かったが今思えば(屋久島なのに?)かなり乾燥していた

屋久島はあまりにも縄文杉が有名であるがために多くの人が屋久島=縄文杉という印象を持っているかもしれない。しかし、実は屋久島には個々で見れば素晴らしい観光名所がいくつもあった。


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大川(おおこ)の滝
水飛沫がかかるほど近くで見れる


レンタカーを借りた宮之浦港は島の北部にあるため、大川の滝に行くまでには西部林道を通らなければならなかった。この西部林道はヤクザルやヤクシカが多く見られることで有名らしい。

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ヤクシカ
𝐶𝑒𝑟𝑣𝑢𝑠 𝑛𝑖𝑝𝑝𝑜𝑛 𝑦𝑎𝑘𝑢𝑠ℎ𝑖𝑚𝑎𝑒
もののけ姫の世界から出てきたようだった。本亜種は日本産の鹿の中で最も小型で形態にも違いが見られる。通常、成熟した雄鹿は角が四本に枝分かれすることが知られているが、本亜種は三本以下がほとんどである。また、四肢も体サイズと比べて短い。
ニホンジカ屋久島亜種 

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ヤクザル
𝑀𝑎𝑐𝑎𝑐𝑎 𝑓𝑢𝑠𝑐𝑎𝑡𝑎 𝑦𝑎𝑘𝑢𝑖
本土の個体と比べてひとまわり小さく、気性は荒い。体色は基亜種と比べて暗い灰色をしており、手足が黒い。本亜種と基亜種の遺伝子の遺伝的距離は、基亜種の地域変異の10倍以上あるとされており、また、ニホンザルの南限の個体群とされている。 

ヤクシカは本土の個体と同じように気性は比較的穏やかで、車から降りて写真撮影をしてもほとんどこちらを気にせずにのんきに歩いていた。しかし、ヤクザルは思った以上に気性が荒くて驚いた。


そんなこんなで初日はいきなり屋久島を一周回ってしまった。
夜は大雨が降ってしまい、街灯巡りや夜間ルッキングは全くできなかった。
疲労感でいっぱいだったが、2日目3日目の採集がますます楽しみになる1日だった。

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屋久島南西部
北部は大雨が降っていたが南は晴天だった


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屋久島南部
毎日雨が降るためなのか夕焼けはとても綺麗だった
プロフィール

鍬吾郎

離島を愛する鍬形屋
大学四年間の目標は日本の採集可能なクワガタ全種を自己採集すること
夏はほぼ島にいます
自己採集品のブリードも少々
水生昆虫もやります

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